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日本における有料老人ホーム部門の目覚しい成長

大迫政子(国際長寿米国センタープロジェクト諮問委員)

はじめに

日本では有料老人ホーム部門が急速な伸びをみせている。介護付有料老人ホームに関する政府基準を満たす高齢者住宅施設の数は、2000年の350ヶ所から2005年には1,144ヶ所と急激に増加した。この増加は主に2000年の介護保険制度の導入によるところが大きい。
この制度により有料老人ホームは介護度に応じた定額の報酬を得ることで経営が安定し、ホームの入居者も介護保険の利用が可能となり自己負担額がかなり軽減された。有料老人ホームの事業運営主体のほぼ75%が民間業者であり、この中には様々な業界の大企業が含まれている。
日本における有料老人ホームの機能および財務処理は米国の生活支援施設(アシステッド・リビング)のそれに類似しているが、施設の規模や提供されるサービスの内容が日本政府による規格を満たしている必要がある点でアシステッド・リビングとは異なっている(井上、2005年)。

日本の介護施設の概要

下表のとおり、日本における介護施設の大半は地方自治体または社会福祉法人によって運営されている。介護を受けている入居者数で見た場合、現在有料老人ホームは利用可能な高齢者住宅の13%程度に留まる。しかしこの部門は過去6年間で急速に伸びてきており、この傾向は今後も継続すると予想される。有料老人ホームの需要は大きいと一般にいわれているが、これは介護施設(下表を参照のこと)への入居待ちが多いことや裕福な高齢者層が高級施設を求めていることなども要因となっている。
高所得層の高齢者を対象とし、その要求を満たしている有料老人ホームも多い。しかし、有料老人ホームの入居率は、最近オープンした施設も多いことなども反映して72%と、他の施設に比べて低めである。

  事業運営
主体
入居者数
(2004年)
施設数
(2000年)
施設数
(2004年)
施設数の
伸び率
(2004年
/2000年)
入居率
(2004年)
養護老人ホーム 地方自治体
または社会福祉法人
67,181 949 962 1.4% 95%
特養老人ホーム 地方自治体
または社会福祉法人
363,747 4463 5291 18.5% 95%
軽費老人ホーム
(低額料金の老人ホーム)
地方自治体、
社会福祉法人、
民間業者
60,951 1444 1928 33.5% 90%
有料老人ホーム 地方自治体、
社会福祉法人、
民間業者
76,128 350 1045 299% 72%

出所:厚生労働省 注:数値は2004年現在

有料老人ホーム施設の所有者/事業者:民間業者が大多数

2005年8月の時点で、有料老人ホーム施設数の合計は1,398ヶ所であった。そのうち76.2%が民間業者、14.2%が社会福祉法人により運営されており、その他は財団法人や生活協同組合などの所有または運営となっている。

民間業者が高齢者住宅に対して積極的な興味を示している理由は何だろうか。人口高齢化の影響を強く認識し、過去5年の間に多くの日本企業が経営多角化戦略の一環として高齢者住宅市場に参入した。参入した企業の業種は公益事業、不動産、保険から製造業まで多岐にわたっている。高齢者住宅運営会社を買収、あるいはそうした会社と合弁会社を設立することにより市場参入する企業もあれば、単独で運営を始めた企業もある。多くの場合これら高齢者住宅市場への事業展開は、参入した企業が抱える他のニーズにも対応したものであった。1990年代を通じて行われた企業リストラの一部として、多くの日本企業は社員寮やリゾート施設といった中核部分以外の施設の処分を余儀なくされてきた。そしてこうした不動産の高齢者住宅施設への転換は望ましい解決法であると考えられたのである。

トヨタ自動車株式会社など少数の企業は、他社とは異なる動機で高齢者住宅市場に参入しているといわれている。これらの企業は、同市場への参入を人材対策とみなしているのである。例えば、トヨタは2005年に高齢者住宅施設の建設を発表したが、その恩恵を優先的に受けることになるのは少なくとも当初は同社の退職者、および高齢化しつつある従業員の両親であると報道されている。

有料老人ホーム施設の例

下記の例に示されているように、有料老人ホーム施設は入居者との契約形態により3つのタイプに分けることができる(藤原、2006年)。1)主流は介護付終身利用型施設である利用権方式。入居者は入居一時金(通常約2,400万円から約6,000万円)、および管理費、食費、光熱水費および介護費用自己負担分を毎月支払う。各入居者は一生居住する権利を持つ。2)次に建物賃貸借方式(賃貸型施設)。通常の民間アパートに類似しており、一般の賃貸住宅と同じように建物(居室)を賃貸借する権利を得る契約形態で、各入居者は家賃および月々の諸経費を支払う。3)終身建物賃貸借方式。建物賃貸借契約の特別な形態で、借り主である入居者が亡くなるときまで建物(居室)を賃貸借し続けることができ、借り主が亡くなったときに賃貸借が終了するという特約が付いた契約。高齢になっても安心して暮らせる住まいを提供するために作られた終身建物賃貸借方式だが、まだほとんど採用されていないのが実情である。
更に有料老人ホームは、要介護状態などにより介護付・一般型、介護付・外部サービス利用型、住宅型、健康型に分類される。

〔ケース1〕 株式会社神戸製鋼所は介護サービス付きの生活支援型施設を4ヶ所建設した。同社は2006年6月に施設の1つをオープンしたが、これは裕福な高齢者を対象とするものである。合計約200戸のうち105戸は健康な高齢者向け、そして97戸は介護保険制度の下で提供される介護サービスを必要とする高齢者向けのものである。
〔ケース2〕 株式会社日立製作所の関連会社である株式会社日京クリエイトは、数ヶ所の高齢者住宅施設を運営している。最初の施設は2003年1月横浜に、次いで2ヶ所目が2004年9月東京にオープンした。東京の施設は東京大学の近くで東京都心部の高級住宅地に位置している。入居一時金が2,400万円から3,600万円であるこれらの施設は、裕福な高齢者を対象としている。
〔ケース3〕 大阪ガス株式会社の関連会社、株式会社アクティブライフは、アッパーミドルクラスの高齢者を対象に「アクティブライフ豊中」をオープンした。この施設では入居一時金は必要ないが、維持費は月額42万5,000円と非常に高額となっている。
〔ケース4〕 セコム株式会社は、ホームセキュリティの大手企業であるが、高齢者のための介護施設を9ヶ所運営しており、このうち2ヶ所は終身利用型施設となっている。セコムはホームセキュリティ企業としての同社のブランドが、高齢者住宅施設のマーケティング上の利点になると考えている。

高齢者住宅は民間業者にとって成長ビジネスか

有料老人ホーム部門の成長は、日本の高齢者の多様なニーズに合致しているように見える。しかしこれらの新規事業展開は民間業者のニーズを満たすものであろうか。最終的評価を下すには時期尚早であるが、事業者間での市場競争は激しいと見られる。厚生労働省の調査によると、有料老人ホームの入居率は2000年以降70%から74%の間となっている。社団法人コミュニティネットワーク協会による全国の高齢者住宅事業者を対象とした他の調査では、回答者の54%が十分な施設入居率を維持することは難しいと回答している(井上、2005年)。厚生労働省による有料老人ホームの全国調査(2004年)によれば平均粗利(税控除前)は4.9%であるが、赤字状態にある施設数について一般に公表されている情報はない。

規制による監視

有料老人ホーム施設の急増を踏まえ、日本の監督機関は規制ガイドラインと監視の重要性を強く認識している。老人福祉法の2006年の見直しは、居住者の入居一時金の取り扱い、情報開示義務、その他の問題にかかわるいくつかの新たな条項を含むものとなっている。新たな条項には以下が含まれる。

2006年の介護保険制度の見直しは、入居者の快適な暮らしに悪影響を与える可能性のある市場の過当競争についても言及している。改正法には、米国の「要件証明書」(certificate of need requirements)に類似した新条項が加えられた。各都道府県は介護保険事業支援計画(平成18年から20年の3年間)で介護施設のニーズを見積もっている。その結果、地域の認定高齢者住宅のニーズがすでに満たされている場合には、各都道府県は、これらの施設の新設に関する申請を拒否する権利を持つことになる(小野、2006年)。

(参考文献)

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